うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「……今、時間が戻ったのかと思った」

 さっきと同じ光景だったからだ、と思い言うと、朝日は笑う。

「君も懲りないし、僕も懲りないからだよ。

 言ったじゃない。
 君は人を信じすぎだし、僕はいい人じゃなさすぎだし」

 そこで、ようやく、キリがついたのか、本を閉じた。

「ところで、これ、貸してよ」
とその本を見せて言う。

「あ、やっぱ、それ、私の本?」

 勝手に鞄を開けたな? と睨むと、朝日は、
「忘れないうちに鍵を返しておいてあげようと思ったんだよ。
 君のキーケースにつけておいた」

 あとで確認して、と言う。

 あとと言わずに今確認しよう、とベッドから出ようとしたが、腕をつかまれる。

「誰が此処から出ていいって言ったの?」

「なんで、私が佐藤くんの命令聞かなきゃいけないの?」

「意識がないのに、なにもしなかったんだよ、二度も」

 感謝してよ、と朝日は言う。

 いやいやいや。
 そもそも、それ、貴方が薬を飲ませたからだよね、と思った。