うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 公園の木々の上、ビルの谷間に見える低い月を見ながら、
「相楽さん、月、綺麗だよ」
と思わず言うと、

「……そうだねー」
と絶対見てもいないのに、言ってきた。

 適当だなーと思いながらも、その適当さがなんだか今は、心地よかった。

 重いから早く降ろしたいと思っていたはずなのに、こちらに向かってくるタクシーの灯りを見たとき、少し残念に感じている自分が居た。