うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



 こちらを気にしてはいたが、この時間は店を任されているので、香月は仕事に戻ったようだった。

 タクシーはまだ来ていない。

 確かに重い。
 瑞希と言えども。

「相楽さん、相楽さん」

 起こしてはまずいと思いながらも、落とすわけにはいかないので、呼びかける。

「ごめん。
 せめて、首に手を回して、体重、背中にかけてくれないかな?

 ……うっ。

 違うっ。
 首絞めるんじゃなくてっ」

 起きてんじゃないだろうな、と思いながら言った。

 うんうん、ごめんごめん、となにがごめんなんだか、瑞希は謝っている。

 条件反射か?

 また、すぐに気持ちの良さそうな寝息が聞こえ始めた。

 その温かさを首筋に感じて、ちょっと微笑む。

 店の前の公園のベンチには酔っ払いが寝ているが、今日は騒いでいる学生もおらず、静かなものだった。