うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「なんで? お前の方がおかしいよ。
 了弥並みにおかしいよ。

 じゃあねっ」

「おい、タクシーまだ来てないぞ」

「うるさいっ。
 説教野郎とこれ以上なにも話したくないから。

 了弥にも神田にもなにも言うなよ。

 言ったら」

「言ったら?」

「お前の人のいいばあちゃんに、お前の学生時代の悪行、全部バラすっ」
と脅しになるんだかならないんだかわからないことを言った。

「あのばあさん、きっと、菓子折り持って、女の子たちに謝って歩くんだろうな……」
と呟きながら、戸口に向かうと、わかったわかった、とばあちゃんっ子の香月は溜息をつきながら言い、ドアを開けてくれた。

 別れ際、
「信じてるぞ、朝日」
と目を見て言われたが、いや、まず、お前自身が女の子に誠実になってから言えよ、と思う。

 だが、揉めるのも嫌だったので、
「わかってるよ」
とだけ言って店を出た。