うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





「あーあ、潰しちゃって」

 カウンターに伏せてしまった瑞希を見て、香月が言う。

「いやあ、潰すつもりはなかったんだけどね」
と言うと、香月はこちらを睨んで、

「彼女、お酒弱い?」
と確認するように訊いてきた。

「さあ? 弱いんじゃない?」
と笑うと、ほんとに? と言う。

「……なに疑ってるんだよ」

「了弥に電話する。
 迎えに来てもらえ」
と香月は言ってくる。

「いや、僕が送るよ」
「朝日」

「余計なこと言うと、絶交だよ」
と言うと、いや、お前、絶交って……、と香月は言う。

「子どもか」

「なに相楽さんみたいなこと言ってるんだよ。
 タクシー呼んで。

 それから、僕、相楽さん、背負うから、乗せてよ」

 手を貸せ、と言うと、渋々、瑞希を背中に乗せてくれた。