うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 笑いかけ、
「あとちょっとで無くなるね」
とグラスを見て言うと、

「うんっ。
 頑張ったっ」
と拳を作って言う。

 はは。可愛いな、と珍しく素直に思い、笑った。

 ほんと、君にはなんの恨みもないんだけどさ。

「じゃあ、もう一杯呑んだら終わりね」
と言うと、瑞希は、ええーっ、と声を上げる。

「……誰が一杯でいいって言った?」
と睨んでやると、

「確かに言ってませんけど~。
 でも、佐藤くんってさー。
 顔、超可愛いのに、睨むと怖いよねー」
と愚痴り始める。

 ずいぶん酒が回ってきたようだな、と思う。

 そんなに弱くはないようだが、あまり呑まない酒だからだろう。

 あの日も、ちゃんぽんにしなければ、酔わなかったはずだ。

 いや、気を抜いてたからかもしれないな、と思う。

「僕ねえ、可愛いって言われるの、嫌いなんだよね」

「だって、可愛いもん。
 私より絶対可愛い」
と主張してくる瑞希に、

「それはそうかもね」
と言ってやると、ええーっ、という顔をする。

 自分が言ったくせに、と笑った。