うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





 暗がりを怖そうに見つめたあとで、瑞希は覚悟を決めたように、立ち上がり、そちらに行った。

 それを見ながら朝日は笑う。

 扉が閉まったあとで言った。

「確か、水割り呑むと、トイレが近くなるって言ってたんだよね」
と同窓会の夜に聞いたことを呟くと、

「朝日、ああいう子はやめといた方が」
と香月がたしなめるように言ってくる。

「別に悪いことしようってんじゃないよ」
と笑うと、

「お前が悪いことしようってんじゃなく、此処に女の子を連れてきたことないと思うが?」
と上目遣いに窺いながら言ってきた。

「俺は犯罪の片棒担ぐの、嫌だからな」

「わかってるよ。
 僕も、相楽さんのことは嫌いじゃないしね。

 でも、相楽さんってさ。

 了弥が好きな子なんだよ、知ってた?」

 え、という顔を一瞬したあとで、
「そうか。
 それで大学の話はするなと言ったのか」
と香月は言った。