うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 チューハイを手に、再び、背もたれに縋り、
「それにしても、なんだって、私に向かって、バカだなんて書いたのかしら」
と呟くと、

「バカだと思ってるからだろ」
と振り向かないまま、了弥が言う。

 うっ……。

 確かに返す言葉もないけどな、と思いながら、スマホをいじっていると、了弥が振り返った。

「おい、何処にかけてんだ?」

「未里(みさと)。

 って、知らないか。
 同窓会で一緒だった、小学校のときの友だちなんだけど。

 今でもたまに遊ぶんだ」

 梶原未里は、ほいほーい、といつものように陽気に出てきた。

「あっ、未里。
 ちょっと訊きたいことがあるんだけど。

 私、昨日、どうやって帰ったっけ?」

『えっ?
 知らない。

 だって、ほら、うち、旦那に見ててもらってた子供がぐずったって、途中で旦那が連れてきちゃってさ。

 早めに帰ったじゃん』