うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「それは、相楽さんが結婚をエサに僕を誘い込んだから」

 嘘、弾みだよ、と朝日は言った。

「でも、結婚してくれるって言ったのは、ほんと。

 最近、一人暮らしが寂しくなってきたんだよねって言ったら、あっ、じゃあ、私が結婚してあげようかって言ったよ、笑いながら」

 ……だんだん話がリアルになってきましたよ。

 酔って、そう言うことはあるかもしれない、と思った。

 でも、それって、その場の勢いっていうか、ジョークっていうか。

 大抵の場合、そこで、みんなが、どっと笑って終わりってパターンなんじゃ……。

 それだけで、あそこまでのことをするのは、ちょっとおかしいような。

 まだ、隠している別の理由があるんじゃないかな、と思ったとき、
「まあいいよ」
と溜息をついて朝日が言った。

「正気の相楽さんは僕とは結婚する気はないようだから、鍵を返してそれで終わりってことで」

 なんだろう。
 薬まで飲まされたのに、私が極悪人のような気がしてきた……。

「鍵返してあげるから。
 せめて、もう一軒、呑みに行くの、付き合ってよね」
と軽く睨まれる。