うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ねえ、結局、これって、どういう話なわけ?
 私が佐藤くんに落とした鍵を拾ってもらったって話?」

「違うよ。
 君が酔って、僕に結婚してあげるって言ったくせに、ケロッと忘れてるって話。

 僕は君の鍵を拾って、結婚しようって言う人の鍵だから、そのうち、連絡くれるだろうからと思って待ってたんだけど。

 いつまで待っても、君は、なんにも言ってこなかったって話でしょ?」

「待って。
 じゃあ、あの晩泊まっていったのは、誰なの?」

 この話を具体的にしたのは初めてだったと思うのだが、朝日は顔色ひとつ変えずに、
「だから、僕だよ」
と言ってきた。

「……佐藤くんだったら、朝まで居たんでしょ?
 鍵は何処で拾ったの?」

「君の部屋」

「それ、落ちてたって言わないんじゃない……?」

「そうかもね」

 瑞希は頭を抱えた。

「待って。
 佐藤くんの話、なにが本当かわかんないんだけど」
と訴えてみたのだが、朝日は笑い、

「そうだね。
 みんなそう言うよ」
と言う。

 神様、この人、なんなんですか。
 どうにかしてください〜っ。

 いっそ、全部なかったことにして、今すぐ家に帰って、了弥と珈琲を飲みながら、DVDを見たい、と思ってしまった。