うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「いや、待って。
 誰かがそれ書いたのって、朝出てから、仕事終わって帰ってくるまでの間なんだけど」
と言うと、

「なんかのホラーみたいだね。
 家の中にそっとカメラ仕掛けときなよ。

 誰も居ないはずの昼間に、相楽さんちの押入れが開いて、包丁持った見知らぬ男が出てきたり、ソファの下から男が出てきたりするかもよ」
と言ってくる。

「……なんてこと言うのよ。
 ますます家に帰れなくなるじゃないの」

 朝日は、
「ああ、今、家に帰ってないんだ?
 鍵がなくなったから、怖くて?」

 じゃあ、今、何処に居るの? と訊いてくる。

「と、友だちの家」
と言うと、ふうん、と言ったあとで、

「まあ、そのトイレットペーパーの件はともかくとして、鍵は僕が持ってるよ。
 帰って大丈夫、という保障はできないけどね」
と言う。