うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「君がくれたから」

 いや、もう貴方の言うことはなにも信じられないんですが、と思いながら、窺うように見ていると、朝日はフォークを置いて溜息をつく。

「嘘。
 拾ったの。

 君は鍵を落としただけ」

「えっ?
 じゃあ、バーカって書いたの、佐藤くんっ?」
と身を乗り出すと、はあ? と言われる。

 自宅のトイレのトイレットペーパーにバーカと書かれていた話をすると、朝日は笑い出した。

「なにそれ、僕じゃないよ」

「ええーっ。
 でも、うちの鍵持ってるの、佐藤くんなんだよねっ?」

「そうだけど。
 そんな子どもみたいなことしないよ」

 だよねえ……。

「夢遊病なんじゃないの? 相楽さん」
とまで言い出した。

 私が寝ぼけて、マジックを探し出し、バーカ、と書いたとでも言うのか。