うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ねえ、佐藤くん。
 なんで、あんなことしたの?」

「言ったじゃない。
 君が僕を騙したからだよ。

 僕と結婚してくれるって言ったのに、ケロッと忘れてるから」

「いやあの、全然私と結婚したいように見えないんだけど」

 そのとき、鉄板に載ってハンバーグがやってきた。

「佐藤くん、目玉焼き、半分あげようか」

「じゃあ、ポテトサラダあげるよ」
とお互い満足な物々交換が終わる。

「意外に美味しいね、ファミレス」
と言う朝日に、

「ファミレスがじゃなくて、此処のファミレスが美味しいんだよ」
とまるで自分の手柄であるかのように瑞希は言った。

「なに勝ち誇ってるの?」
と朝日が可笑しそうに笑う。

「いや、私、この系列のファミレス、結構好きなんだ」

 場は意外に和やかに進んでいるのだが。

 ……だが、しかし、訊かねばなるまいっ、と覚悟を決めた瑞希は、食後に、一口、紅茶を飲んだあとで、朝日に訊いた。

「あのー、なんで、佐藤くんがうちの鍵持ってたの?」