うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



 服を着て、外に出ると、朝日はリビングのソファに座って、なにやら熱心にパンフレットを眺めていた。

 ……なに見てるんだ? この人、と思って近づくと、真横から覗かれて初めて気づいたようで、朝日は、うわっ、と声を上げた。

「ああ、ごめん。
 支度終わった?

 何処でもいいよ。
 何処行きたい?」
と訊いてくる。

 さっきはひどいことを言っていた気がするのに、なにか気を使っている風でもある。

「……ファミレス」

 はい? と朝日は言った。

「どっか近くのファミレスでいい。
 あんまり食欲ないし」
と言うと、

「本気?」
とパンフレットを閉じながら言ってくる。

「本気ってなんで?」

「いや、僕が何処でもいいから連れてってあげるって言うと、みんな遠慮なく高いところ言ってくるから」

 そう言う朝日に、瑞希は部屋を見回し、うーん。そりゃ、言うかもね、と呟いた。

 これだけリッチな部屋とか見せられたら。