うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 だが、さすがに居ることは覚えていてくれたようで、CMになったところで、
「なにか飲むか?」
と訊いてくれた。

「ああ、淹れようか? 珈琲でも」
と背もたれから身を起こしながら問うと、

「こんな時間に珈琲なんぞ飲んだら、寝られなくなるだろ。
 酒があるぞ」
と冷蔵庫を見て言う。

「いや~、お酒はちょっと……」
と苦笑いすると、さすがに懲りたか、と笑っていた。

「大丈夫だ。
 今日は俺とお前しか居ないから」

 まあ、そうなんだけど……。

「呑んだら思い出せるかもしれないぞ」
と了弥は言ってくるが、

「……思い出したいような……思い出したくないような」

 微妙なとこだな、とクッションを抱いたまま、逡巡していると、了弥が、
「どっちでもいいから、早く決めろよ。
 CMが終わるだろっ」
とキレてきた。

 ……貴方、ワタシの繊細なハートより、ミイラの方が大事ですね。