うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 うわっ、本当だっ!
 なんかのアイドルグループにこんな顔の人、居たよな、という顔をしている。

 これで医者なんだから、モテモテではないかと思うのだが。

 朝日はおばあちゃんを丁寧に送り出したあとで戻ってきながら、

「なにつられて一緒に頭を下げてんの?」
とこっちを見て少しだけ笑ってみせる。

 今、朝日がおばあちゃんに頭を下げるとき、つい、一緒に下げてしまったのを見られていたようだ。

 うわー。
 めちゃ可愛い。

 本当に、なんでこれで彼女が出来ないんだ、どんだけ怖いんだ、と思いながら、
「佐藤くん、久しぶり」
と言うと、彼は顔をしかめ、

「会ったよね、この間……」
と言ってくる。

 そ、そうでしたね。
 でも、その辺の記憶もなくて。

 早くから話していたはずの神田くんでさえ、最初、小学校の顔しか思い出せなかった程なんですが……。

「僕、今日、これで上がりますね」
と朝日が渡瀬に言うと、渡瀬は、

「はいはい、ごゆっくりー」
とニンマリと笑った。