うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜






 定時になると、即行帰り支度をした。

「お先に失礼します」
と了弥たちに挨拶に行くと、了弥は不審げにこちらを見ていたが、職場なので、なにも訊いてはこなかった。

 家に帰ってから訊けばいいとでも思っていたのかもしれない。

 だが、このとき、了弥に一言言っておくべきだったと後から思った。

 ただ、自分のやましさからなにも手を打っておくことができなかった。