うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「こんな素敵な家。
 せっかく、番犬代わりの息子が帰ってきたんだから、住めばいいのに」

 誰が番犬だ、と睨まれるが、いや、そうやって、すぐ凄むからですよ、と思っていた。

「まあ、荷物はその辺に置いておけ。
 部屋には後で案内する」
とどうでもよさそうに言った了弥は、いそいそとテレビをつけていた。

 テレビは窓と反対側にあって、ラグに座ったり寝転んだりして見るようになっている。

 瑞季はその白いソファが気に入ったので、そこに座り、背もたれに縋るようにして、了弥の頭の後ろから部屋のわりに大きくないテレビを眺めた。

 テレビがあまり存在感がないので、余計部屋の広さが目立って、庭が目に入るというか。

 自由度が高い感じがする。

 まあ、このテレビ、うちの家にあったら、大きすぎるくらいだけど。

 ついにピラミッドの謎、解明かっ? という、人生の間で、百回は軽く見たようなテロップを見る。

 まあ、解明されても面白くないけどな、などと思いながら、しばらく、二人でミイラとピラミッドを眺めていた。

 なんかくつろぐな、この家。

 いや、了弥と居ると、かな。

 それにしても、本当に好きだよな、こういう番組、と最早、自分の存在さえ忘れているかのような了弥の後ろ頭を見る。