うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


 瑞希がとっておきのお肉で作った肉じゃがは、本当に美味しかった。

「お前、本当に肉じゃがだけだなっ」
と他の料理をすべて作らされた了弥は文句を言っていたが。

 食後は、了弥が淹れてくれた珈琲を飲みながら、三人でDVDを見た。

 神田がつい、解説を始めると、瑞希は感心し、了弥は、
「うるさい、黙れ」
と文句をつけてくる。

「じゃあね、また」
と瑞希と了弥に手を振られ、神田は了弥の家を後にした。

 面白かったけど、なんか新婚家庭から見送られるみたいでやだなあ、と思いながら、車で少し走ったとき、スマホが鳴った。

 まだ住宅街の道で、他に車も居なかったので、脇に避けて、それに出る。

 なにか忘れ物でもしたかな? と思ったのだが、『佐藤朝日』からの着信だった。

 はい、と出ると、
『なんだったの? 昼間』
と今頃訊いてくる。

 相変わらずマイペースなやつめ、と思いながら、
「いや、たいした用じゃないよ」
と言ったのだが、嘘つけ、と言われる。

 確かに、朝日に嘘は通じない。

 仕方なく、全部話すと、
『なんだ、あのとき、相楽さんを連れてきてたんだ。
 じゃあ、帰ればよかったよ』
と言い出す。