うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 いつの間にか、了弥が風呂から出ていた。

「起きたのか、瑞季」
と少し赤くなって言う。

 さっきのキスのことを思い出しているのかもしれないと思った。

 自分もそうだから。

「あ、うん」
と言いながら、スマホを置くと、その手を見ながら、

「風呂、入ったら?」
と言ってくる。

「ありがとう」

「俺、シャワーにしたけど、湯船につかりたかったら、お湯張れよ」

 了解、ありがとう、ともう一度礼を言い、立ち上がった。