うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 



「ただいま」
と了弥がリビングの扉を開けると、瑞季はまた、誰かとスマホでしゃべっていた。

 どうやら、あの白いソファがお気に入りらしく、またそこに座って話している。

 なんだか瑞季が居るのが既にこの家の風景になってるな、と少し嬉しく思いながら、ダイニングの椅子に鞄を置いた。

 瑞季が、お帰り、というように振り向く。

 だが、まだスマホは握ったままだった。

 なにか真剣な顔で話している。

 また嫌な予感が、と思ったとき、
「わかった。
 ありがとう」
と言って、瑞季はスマホを切る。

 ふと見ると、瑞季がさっき持っていた紙袋がテーブルの上に置いてある。

 ぱっくり開いているので、つい、中を見ると、美味しそうな揚げたてのコロッケが四個入っていた。

「あ、それ、未里がくれたの。
 晩ご飯にって」

 食べよう? と瑞季が立ち上がりかけたとき、彼女のスマホがメールの着信を告げた。