うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ああ、友だちの家なんだっけ?
 だったら、上がり込んだりしないから大丈夫だよ」
と言う神田に、じゃあ、友だちの家じゃなかったら、どうなんだ、と思ったが。

 このまま別れて気まずくなるのも、友だちとしてどうかな、と思い、そのまま送られた。

 商店街を抜け、そのマンションに着く頃には、もういつも通りの彼に戻っていた。

 バラさなくてもいい、同級生の話をバラして笑わせてくれる。

 やっぱり、人気のある先生なだけあって、話上手いな、と思いながら、
「ありがとう。
 じゃあ、此処で」
と言うと、

「また会ってくれる?」
と訊かれた。

 一瞬、詰まると、
「もうなにもしないから。

 今度は昼間会おうよ。
 あの番組、スペシャル版も録ってたし、そういえば」
と言ってくる。

 やはりあったのか、スペシャル版。

 了弥が喜びそうだな、と思っていると、神田は少し笑い、

「あのとき、手を離したのは、君が泣くと、僕も苦しくなるって気がついたからだよ」

 おやすみ、とこめかみに口づけてくる。