うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 しばらくして離れたエレナは、
「……やっぱ、違うな」
と呟く。

「大丈夫。
 私、課長を応援することにしました。

 私からも、瑞季にかけてみます」
と行きかけ、振り返る。

「ああ、課長も私とキスしたんだから、神田くんとやらとキスした瑞季を責めないでやってくださいね」

 じゃ、とみんなが褒める手入れの行き届いた髪を翻し、行ってしまう。

 ……な、なんだかよくわからない女だ、と了弥は、呆然と見送った。

 とりあえず、エレナにキスされたことより、瑞季の電話がつながらないことの方が気になっていた。