うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


 了弥は仕事をしながら、まだ終わらないな、と思い、チラと腕時計を見た。

 みな帰ってしまい、自分の机の辺り以外は、明かりも落ちている。

「此処に居ていいんですか?」
と声がして、顔を上げると、エレナが立っていた。

「まだ残ってたのか」
と言うと、

「はい。
 もう帰りますけど。

 瑞季に電話してみなくていいんですか?

 なんだか怪しいイケメンの先生に呼び出されたんでしょ」
と言ってくる。

「今、しようかと思ってたとこだ」
と言いながら、スマホを見た。

 まだ瑞季から着信してはいない。

 少し心配になってきていたところだった。

 あまり行動を見張るような真似をすると、ストーカーみたいで嫌なのだが。

 何時に出て行ったんだったかな、と不安になっているところに、エレナが言ってきた。

「あの子、ちょっと抜けてるから、ピンチになってても気づいてないかもしれませんよ」

 ありうる……と思いながら、仕事の手を止め、かけてみたが、出ない。

 不安な気持ちのまま、スマホを見つめていると、エレナが、
「真島課長」
と自分を呼んだ。

 顔を上げると、いきなりエレナがキスしてきた。