うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「あっ、あのっ。
 体育館、まだ明かりついてるしっ」
と言うと、少し離れた神田は外を見、

「そう。
 じゃあ、みんなが帰ってからにする?」
と言ってきた。

 慌てて首を振る。

 帰ってからでも、帰ってからでもなくとも嫌ですっ。

 誰か怪我でもして、保健室に来てくれないだろうかと自分が骨折したときの辛さも忘れて願ってしまう。

「違ってもいいんじゃない?」

 ふいに神田はそんなことを言ってきた。

「僕の方が良ければそれでいいんじゃない?」

 あっちが過ちってことだよ……と言う。

 神田が自分を見つめ、そっと唇を重ねてきた。

 い……

「いやっ!」

 そのとき、ふっと消えかけていたあの夜の断片が見えた。

 そして、気づく。

 あのときの自分が嫌がってはいなかったことに。