うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 いや、待て。

 やはり、学校の怪談から、こうなるくだりが意味がわからないのだが。

「思うんだけど」

 窓から差し込む月光の中、神田はふいに口を開いた。

「試してみたら、わかるんじゃない?
 僕があの夜の男かどうか」

 いやいや。
 あんた、未里かっ、と思った。

「神田くんじゃないよ。
 それはもう、わかってることじゃない」

 へー、と神田は上に乗ったまま、冷ややかに見て言う。

「なんで、そう言い切れるの?
 僕が僕じゃないフリをしてたのかもしれないじゃない」

「なんでよ?」

「あの晩は無理やりだったから、思い出して欲しくないのかもしれないじゃない」

 いや、今も無理やりですよ、と思っていた。

 神田は強く瑞季の手首をつかんで笑うと、

「だからね。
 やり直したいんだよ、今……」
と囁いてくる。