うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 




 えーと。
 なんで私は、この人に、上に乗られてるんでしょう?

 神田に組み敷かれた夜の保健室で、彼の白い整った顔を見上げながら、とりあえず、記憶をさかのぼってみよう、と瑞季は変に冷静になっていた。

 多分、心がまた、逃避してしまったせいだ。

 今日は酔ってはいなかったので、

 酔っています

 酔っていません

 酔っています、の方に舵を切ることは出来なかったが。

 えーと。

 確か、神田くんに呼ばれて、夜の学校に来たんだった。

 他の先生も二、三人残っていて、神田くんが、同級生なんです~っ、なんて紹介してくれて、楽しくおしゃべりをした。

 その先生たちが帰っちゃったから、戸締りに付き合って言われて。

 警備のロックかけるの失敗して、すごい音がし始めて、警備会社に通報が行った笑えない笑い話なんかを聞きながら、二人で校舎を見回った。

 そのうち、話が自分たちの学校の怪談になり、この学校の怪談になり、保健室のベッドにしゃがんでいる女の子の霊が出る話になり。

 気がついたら、ベッドに押し倒されていて、上に神田くんが乗っていた、と。