うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 エレナは溜息をつき、
「嘘よ。
 あんなめんどくさそうな男、いらないわよ。

 幾ら顔が良くてもタイプじゃないわ。

 でも、ってことは、あんたは、課長が好きなのね?」
と訊いてくるのだが。

「いや……よくわからないんだけど」
と言ってしまい、呆れられた。

 いや、ほんとに。
 近すぎて、了弥を好きかどうかなんてわからない、と思ったとき、この間、了弥に怒られたので、仕事中は音を消しているスマホがポケットで震えた。

 ん? と見ると、神田からだった。

『思い出したことがあるから、夜、学校に来ない?』
と書いてある。

 思い出したことってなんだろう。

 ちょっと怖い、と思いながら、

『思い出したことってなに?』
と打ち返すと、

『それは来てからのお楽しみ♪』
という見るからに怪しいメールが返ってきた。

 うーん、と瑞季はスマホを手に、しゃがみ込み、頭を抱える。

「なに? どうした?」
とエレナが訊いてきた。