うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 




 そのあとも了弥は、夕べのキスのことには触れて来なかったので、二人でDVDを見ながら、朝食を食べ、いつものように、了弥に会社の近くまで送ってもらった。

 一緒に出勤するわけにはいかないからだ。

 この間、いつも同じ電車に乗っていた会社のおじさんから、
「最近、朝、乗ってないねー」
と社食で言われた。

「ウォーキングすることにしたんで、早い時間に乗って、途中から歩いてるんです」
と笑顔で答えたが、そのわりに痩せないね、と言わなかったのは、おじさんのやさしさか。

 朝、給湯室で、他の女の子たちが居なくなったあと、エレナにだけ、了弥の家に住んでいるところだけ省いて、ざっくりと昨日のことを話した。

「へー。
 急になんか、華やかになってきたわね、瑞季の周り」
と言うエレナに、いや、こういうの、華やかになったって言うのだろうかな、と思っていた。

「ふうん。
 真島課長は、やっぱり、瑞季のことが好きなのかしらね」

「えっ、なんでよ」