うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「ともかくさ」
と言いながら、振り向いた瑞季は固まった。

 いつの間にか、音もなく帰っていた了弥が背後に居て、腕組みして、今の話を聞いていたからだ。

 え……

 えーと……。

「と、言うわけで、さようなら」

『なんなのっ。
 ちょっと、意味わかんないんだけどーっ』
と叫ぶ未里との通話を切り、さりげなく電源を落とした。

 すぐにかけて来そうな気がしたからだ。

「お、お帰り」

「……DVDは」

「……ごさいます」
と神田に焼いてもらったDVDの包みを献上する。

「じゃあ、珈琲でも淹れて見るか」

「さようでございますね」

 揉み手もせんばかりに、腰低く言うと、了弥は、
「俺が淹れる」
と言ったあとで、キッチンに行き、珈琲の瓶を出すと、こちらを見て言った。

「『いや、別に順調じゃないし』からだ」

 そ、そんなところから聞いてらっしゃいましたか。

 はは……と笑う。

「カップでも出しますね」
と何故か職場でもないのに、改まって言いながら、ソファから下りた。