うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「私の部屋の鍵を持って逃げたみたいなの」

「危ないじゃん」

「大丈夫。
 今……」

 おっと、余計なことを言うところだった、と思った。

「今、実家に居るから」

「……実家、あの駅の近くだった?

 両親は引っ越して、おばあちゃんの居る隣の県に行ったって言わなかった?」

「友だちのところに居るから」
と言い変えると、冷たい目で見る。

「へー」

 へー、の一言で終わるのが怖いんですが……。

 よく考えたら、この件で、彼に文句を言われなきゃならない理由もないんだが。

「それで家に来るなって言ったんだ?

 別の男が居るのなら、探さなくていいじゃない、その夜の男。

 ああ、探してんの、鍵?」

「いや、泊めてもらってる友だちは、ほんとにそんなんじゃないから。

 この件がはっきりしないと、誰かと付き合うとか考えられないし」
と言うと、

「ほんと真面目だねえ、相楽さん。
 そんなこと言ってると、いき遅れるよ」
と突然忠告してくる。