うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 はい?

「きっと、君にもてあそばれたと思って書いたんだよ」

「もてあそぶような技術はありませんーっ。
 初めてだったのにっ」

 ぶっ、と横に居た若いサラリーマンが笑い出した。

「あっ。
 誰ですかっ。

 笑わないでくださいっ」
と振り向いて言うと、

「相楽さん、相楽さん、周りの人に喧嘩売らないで」
と神田が苦笑いして言ってきた。

「ともかく、神田くんじゃないのは、はっきりしたよねっ」
と言ったが、

「いや、僕だって」
と言う。

「だって、今、認めるのなら、あのとき逃げたの、おかしいじゃない」

「だからさ、あのときは、君にもてあそばれたと思って、トイレットペーパーにバーカって書いて逃げたわけ」

「はい、ブー。
 トイレットペーパーに書かれたのは、そのあとなの。

 私が仕事に行ってるとき」

「え、それ。
 どうやって、その男入ったの?」

 ほら、もう確実に神田くんじゃないじゃん、と思った。