うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「うん。
 自由がないとか言ってるけど、毎日、楽しそう」
と笑うと、

「それで、相楽さんも微笑ましいご夫婦を見て、結婚したくなったとか」
と言ってくる。

「なんで?」

「それで、僕を酔わせて連れ帰り、手込めにして、結婚しようと」

 聞いていないかと思った大将が笑い出す。

「ちっ、ちがっ。
 大将っ、違いますからねっ」
と思わず、立ち上がり、神田を見、大将を見、近くの客を見た。

 みんな基本、知らんぷりをしてくれているが、うつむいて笑っている。

「だってさ。
 記憶がないんでしょ?

 なにしててもわかんないじゃん」

「そ、それはそうなんだけど……。

 あっ、でも、絶対、神田くんじゃないと思う、あれ」
と言うと、なんで? と言う。

「神田くんは、トイレットペーパーに、バーカとか書いて逃げないと思う」

 神田は、一瞬、なにそれ、という顔をしたが、
「いや、やるよ」
と言ってきた。