うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「うん、どうして?」
と言う神田に、

「いや、小学校の先生って、なんでも出来ないといけないじゃない。
 音楽も体育も。

 体力いりそうだし。

 まあ、神田くん、なんでも出来るけど。

 なんで、小学校なのかなって思って。

 ほら、先生って、中学高校、大学、と進むにつれて、ふんぞり返ってくるというか。

 机にすがってたり、座ってたり、怠惰な感じで教えられるじゃない。

 小学校って、すごい体力いりそうなんだけど。

 なんで、小学校なの?

 子どもが好きだから?」
と訊くと、神田はにっこりと微笑み、

「いや、中学生以上だと、うっかり手を出しそうだから」
と言ってくる。

 へ、へえ……と言いながら、こごみの天ぷらを落としそうになった。

 やばい人ですよ やばい人ですよ この人、やばい人ですよ……。

 再会してみて思ったけど、やっぱり、みんな、子どもの頃とは一味、違うな。

 いや、違うか。

 子どものときには、こんな本性、出しどころがなかっただけだ。