うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「……でも食べるっ」
と宣言すると、神田は笑う。

 しばらく、今の神田の学校の話や、小学校時代の話をしていた。

「あー、そうだよね。
 相楽さん、骨折ひどくて、一ヶ月くらい学校来られなかったよね」

 ちょうど、思い出したばかりだったその話をした。

 そんなこんなで学校の話になったので、訊いてみる。

「神田くんはさあ、なんで、学校の先生になろうと思ったの?」

 そうだねえ、と神田は鮮やかな大将の手さばきを見ながら、
「人に使われるのがあんまり好きじゃなかったからかな?」
と高い志を語るでもなく、言ってくる。

 えー? と笑った。

「先生と名のつく奴にロクな奴は居ないって言われるけど。
 僕なんかほんとそう。

 人に頭下げるの、あんまり好きじゃないんだよ。
 だから、サラリーマンとか無理」
と素敵な笑顔で言ってくる。

「ははは……」
と笑ったが、本当はそうではないと知っていた。

 叔父が教員をやっているので、現在の教員生活がそんな甘いものではないとよくわかっている。

 素直じゃないな、この人、と思っていると、
「呑んだら? 相楽さん」

 此処、いい酒あるよ、と言ってくる。