うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


 なるほど。
 その道は、川沿いの住宅街の小道に突然あった。

 一見、民家のようだが、中はちゃんとした天ぷら屋さんだ。

 赤いカウンターに黒い半月のお盆が置かれている。

 予約してあったカウンター席に座りながら、神田が言う。

「此処、コースじゃないと席予約できないから、コースで頼んだんだけど。
 大丈夫? 食べられる?」

「大丈夫」
と隣に座りながら笑うと、

「そうだね。
 昔は食が細かったイメージだったけど、結構食べてたね」
と言ってくる。

 うっ。
 神田くんが来たのは、同窓会も後半になってからだった気がするんだけど。

 まだ食べてたのか、私……。

 食べて、呑んでたんだな。

 既に正気じゃなかったのに。

「どうしたの、急にテンション下がっちゃって。

 大丈夫だよ。
 女の子はあんまりガリガリじゃない方がいいよ」

 いや、今の慰めにより、かえって傷つきましたが。

 単に、食べ過ぎ呑み過ぎな自分を実感していただけだったのに。

 今のフォローの一言より、確実に昔より太っていることを証明されてしまった。