うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「過ちの部分じゃなくて、その話をつるっと課長にしたところに呆れるわね」

「なんでよ」
と言うと、

「まあ、もう忘れた方がいいんじゃない?」
とこの話を流そうとする。

「なんで、了弥と同じこと言うのよ」

「相手がなにか言ってくれば別だけどさ。
 こっちから、探すことはないわよ。

 犬にでも噛まれたと思って諦めろっていうありがたいお言葉も昔からあるじゃない」

 いや、それ、ありがたいか? と思いながら聞いていた。

「ちなみに、私はいちいち追求しないわ」
とさらっとエレナは言う。

 この人の周りでは、いつもなにが起こってるんだろうな。

 ちょっと怖い、と思っていると、こちらをちらと見たエレナが、

「クォーターで派手だから軽いだろうと勝手に判断されるのよ。
 こっちが真面目に生きたいと思っててもね」
と言ってくる。

 いや、だからって、それに従わなくても、と思いながら、聞いていた。