うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「いやいやいや。
 神田くんが本人なら、鍵持ってるの、神田くんじゃない」

「お前は、トイレットペーパーにバーカと書くような男と……」

 そこで、了弥は何故か黙った。

「……待て。

 それ以前に、お前んちの鍵を持っているのが、その相手の男じゃない可能性もあるじゃないか」

「は?」

「それはそれで、別件かもしれないぞ。
 鍵は間抜けなお前が何処かに落としただけかもしれないだろ?」

「こ、怖い想定しないでよ。
 でも、鍵は全部キーホルダーについてたんだから、それ一個落ちるのは変じゃない」

「留め金がひとつ緩んでたのかもしれないぞ」

「そうだ。
 このキーホルダーとか家にある指紋を調べてもらったら、どうかな?」

「警察にか?
 なんて言って?

 お酒はもう控えたらどうですか。
 鍵は変えてくださいって言われて終わりだと思うが」

 そういえば、鍵はどうなったの? と言いかけてやめた。

 手配できてると言われたら、此処、出てかなきゃいけないな、とちょっと思ってしまったからだ。

 口を開いてしまったので、なにか言わねば、と思い、
「お腹空いた」
と言うと、

「唐突だな」
と言われる。