うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

「私は結構重傷だったよ。
 学校一ヶ月休んだし。

 って、その話したことあったっけ?」
と言うと、了弥は冷たい目でこちらを見た。

「なんか酔っぱらって階段落ちかけたとき言ってたぞ」

 もう酒は控えろ、と言う。

 うう……。
 今言われると、返す言葉もございませんって感じだな、と思ったそのとき、また、メールが着信してきた。

「またか。
 ストーカーか」

「違うよ。
 未里だよ」
と言いながら、もしかして、このメールの方が内容的にはヤバいかも、と思っていたのだが、急に隠しても変に思われるかな、とそのまま了弥に見える位置で開いてしまう。

 案の定、読んだらしい了弥が、ほう、と言ってくる。

「……お前の友だちはなかなか大胆だな」

 例のあの夜と同じ状況を再現したら、神田が相手かどうかわかるんじゃないかという話のつづきだった。

 み、未里さん、何故、今、これを送ってきますか、と思いながら、スマホを手に固まっていた。

 そんな瑞季に、了弥は冷静に言ってくる。

「だが、お前、その状況を再現するのは、あのマンションに戻るってことだぞ。
 誰かに、バーカ、とトイレットペーパーに書かれたあのマンションに」

 再現中に、その誰かが入ってきたらどうするつもりだ、と言う。