うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜





「なに疲れてんだ?」

 帰宅後、ソファに行き倒れたように寝転がっていると、了弥が訊いてきた。

「職場に怖い課長が居て疲れてるの」
と言うと、ソファの背に腰掛けた了弥が、

「……誰が怖い課長だ」
と言ってくる。

 うつ伏せに寝たまま、顔だけ了弥の方を向け、

「職場ではどうしてあんなに厳しいんですか? 課長」
と訊いてみた。

 なにが厳しいだ、と呟いた了弥は、
「それが仕事ってもんだろ」
と言う。

 一言か。
 まあ、そうだよなあ。

 それが仕事ってもんデスヨネ、とまた目を閉じる。

 上から了弥が顔を覗き込んでくる気配がした。

「疲れたのなら、何処か食べに行くか?」

「うん。
 ああ、でも、どっちかって言うと、なんか買ってきて、家で食べたいなあ」
と言うと、

「じゃ、そうするか」
と了弥は立ち上がり、ネクタイを外そうとする。

 慌てて起き上がった瑞季は、ネクタイを引っ張り、締め直した。

「なんなんだっ、お前はっ」