うっかり姫の恋 〜部屋の鍵、返してくださいっ!〜

 


「おい、相楽。
 これとこれとこれ。

 書式ずれてる。
 半角ずつ」

 了弥にデスクに数枚の書類を投げられ、瑞季はつい、
「えっ? 何処?」
と言ってしまい、睨まれた。

「ど……何処ですか、課長」

 し、しまった、つい。

 以前は、職場では、緊張感から、自然に了弥に敬語を使っていたのに、寝起きを共にしていると、ついつい。

 職場の怖い顔を見ても、あまり怖いと思えなくなってきて、普通にしゃべってしまっていた。

「此処と、此処と、此処だ。

 お前、同じ書面をコピーして打ち打ち替えたな。

 いや、それでいいんだが。
 最初のがずれてたら、みなずれるだろうが」

 ……ご指摘ごもっともでございます、と書類を前に、瑞季は、こうべを垂れる。

 それにしても、此処、別にどうでもいいような。

 細かいな、職場では。

 あんなざっくりな性格なのに……、と思いながらも、課長様には逆らえないので、
「すぐに直します」
と言って、データを呼び出した。