ケンショウ学級


「「「では、説明は以上になります。

10分毎に出血量を告知します。被験者の三人はその際に問診を行いますから、自分の身体に何か影響があるのかを教えて下さい」」」


ついに始まってしまうんだ。

でも、何で白仮面はあんなものを用意しているんだろうか?

これじゃあ…………

「「「では、二時間目のケンショウを開始します。

静脈をメスで切開をします、少し痛みますよ」」」

白仮面は手に持ったそれを三人の足の甲にある静脈にあてがう。

そして、ピッと勢いよくそれを引いた。

ポトッっと透明な滴が足の甲を伝う。

「眞木さん0.290cc」

「中村さん0.306cc」

「堀田くん0.18cc……少し出血量が足りませんね。少し傷口を開きます」

白仮面は再び堀田くんにそれをあてる。

先程傷をつけた場所にもう一度、それを引く。

「0.298cc。オッケーです」

「「「それではこのまま時間を置きます。何かあれば仰ってくださいね」」」

僕らは目の前の光景の意味がわからなかった。

「血、血が…………」

「やめ、助けて」

「やだよぉお」

三人はまるで見てない足の甲の出血を確認するかのように、首を持ち上げて、先程それがあてがわれた右の足の甲を覗き込むようなしぐさをしている。

「なんなんだよこの実験」

「こんなんで死ぬわけなくねぇか?」

そう、こんなことで死ぬわけがない。

だって…………

「寺井。良かったじゃねぇか、血なんか一滴も出てねぇんだぜ?」

そう、三人には出血どころか切り傷すらなかった。

メスと言っていたけど、三人の足の甲に当てられたのはおそらくプラスチックかなにかだろう。

摩擦で赤くなってはいるけど傷にはならずに血など出ていない。

「これ、もしかして給食残したことへの罰かなにかなんじゃない?」

「そ、そうだよね。趣味は悪いけど、確かにかんやことされたら嘘でも反省しそうだし」

手術台の側面に取り付けられた管からは、おそらく水だろう。

透明な滴が、傷口を作ったとされる部分に滴らせている。

その滴が足の甲から横に流れていき、床に置かれた容器に一滴ずつ流れていく。

「少し安心した」

「悪ふざけも大概にしてほしいよな。はは」

本当に、これが給食を残したことへの戒めなのだとしたら、悪ふざけにもほどがある。

でも、アイツの言ったこの実験の目的は簡単に忘れられるものではない。

「思い込みによって人は死ぬのか…………か」

春馬がそう呟いた。

そうか、恐らく春馬も同じことを考えているのだ。

「なぁ、藍斗」

「ん?」

今度は春馬はしっかりと辺りを確認して、手で口を隠しながら耳打ちをしてきた。

「お前『アイツ』のことどう思う?」

「アイツ?アイツって暗い部屋にいる、この事件の犯人?」

「そうだ…………」

そして、僕はこの後春馬から衝撃の言葉を聞くことになる。

「思ったんだけどさ。

アイツってうちの学校の関係者なんじゃないか?」