ケンショウ学級


「「「そして友澤くんの言っていた中学生の平均体重から推察される致死量である2リットルの血液を失うまでの時間は111.111……分。

つまりこの実験における君達が確実に死に至る時間はおおよそ1時間42分ということになります」」」

これは残酷な陰湿な余命宣告だった。

僕ら中学生に残された時間は日本人の平均寿命から考えれば女子は約87歳、男子は約80歳と保健の授業で聞いた。

つまり、中村さんと眞木さんには本来後73年もの未来があり、堀田くんには66年もの長い未来が続いているはずだったんだ。

それなのに、こんな実験に参加したが為に三人の残りの命は1時間42分と宣告された。


これを残酷と言わずに何と言うっていうんだ。

「やめろぉおおおおお!」

「嫌ぁ!助けて!お母さんお母さん!!」

「うぅ、もう嫌なの」

こちらの声は届かないのにモニターの向こうの叫びだけが耳に届く。

「紗由理!紗由理落ち着け!紗由理ぃ」

寺井くんの叫びは届かない。

届かないとは分かっていても黙って見ていることなんてできるはずがない。

寺井くんは佐野くんのグループだからよく生活指導を受けたりしていたが、眞木さんには本当に優しかった。

眞木さんもそんな優しい寺井くんが本当に好きなのが見ているだけで伝わってきた。

うちのクラスで唯一のカップルである二人は皆が認めざるをえないほどに仲が良かったのだから。

それなのにこんな形で引き離されるなんて、誰が予想できたっていうんだろう。