「「「出血死までの過程を説明しましょう。つまり、これから君達の身にどんなことが起こり、死に至るのか…………ということです」」」
『死』というワードと共に肩を叩かれた三人が身体を大きくビクッと反応させた。
「いやっ」と呟いた中村さん。
「はっ、嘘でしょ?そんな殺すなんて、さ」震える声で願うようにそう言った堀田くん。
眞木さんはただ震えながら涙を流していた。
アイマスクの両淵からつぅっと透明な滴が伝った。
「「「先程、皆の身体に流れる血液の量を計算してもらいました。結論から教えます。
人間における出血の致死量はおおよそ半分から1/3と言われています。つまり2リットル近い血液が体外に流れ出すと人間は死に至るということです」」」
2リットルって…………お茶のペットボトル1本分じゃないか。
たったあれだけ?たったそれだけで人間が死んでしまうと言うの?
「「「今から君達にはこのナイフを使って足の甲にある静脈を切り、微量な出血をさせます」」」
「……………………え?」
モニターの外側にいた僕らには白の仮面が言っている意味がわからなかった。
「「「君たちの左手にある点滴には血液が凝固しないようにする成分が入っています。
本来静脈を浅く傷つけただけでは体内にある治癒力によって傷口は簡単に塞がれてしまいます。それを阻害して血液が少しずつ少しずつ、確実に体外に出ていくようにするのです」」」
眞木さん、中村さん、堀田くんはアイマスクで視界が遮られていて目の前で起こることが理解できていなかった。
三人はどうにかして脱出しようとしきりに身体を動かしている。
しかし、強固な拘束はビクともせず、ただ三人の恐怖心、不安が膨れ上がっていくだけであった。
「「「流れ出した血液はこの計量線の入った容器に滴る様にし、一時間毎に出血量を皆さんにお知らせします」」」
コトッとわざと音を立ててバケツのような容器を置いた白仮面。
そのバケツの上、手術台の側面から伸びた何かの管が容器に向けて垂れされている。
「「「血液の一滴の量は0.3cc。今回は1秒毎に1滴の血液が容器に垂れるように、傷を調整します。
1分で18cc、1時間で1080cc、1時間と30分で1620cc…………この時点で致死量の閾値に到達しています」」」
淡々と深く深く説明を続けていく白仮面。
人の死を、出血によってもたらされる死を淡々と淡々と。



