クラスメイトと食べる食事。
いつもならワイワイ盛り上がりながら食べているはずなのに、今は誰一人として喋らない。
机を移動する人もいない。
ただ淡々とスプーンが皿をこする音だけが無音の中で散在するだけだった。
「もう、食べられない」
そう言ったのは眞木 紗由理(まき さゆり)さんだった。
その言葉に寺井 一真(てらい かずま)くんが反応した。
「紗由理ちゃんと食べろよ…………」
「食べられないよ!こんなことになって意味分かんないし、シチュー嫌いだし」
寺井くんは佐野くんのグループの一人で、グループのメンバーの中ではクラスの他の誰とでも話せる貴重な人。
成績も悪くはなくて、野球部でも真面目に練習している姿をよく見ていた。
佐野くん達と遊ぶために練習をさぼって監督に怒られている姿も見かけたことがあるけど、自由で楽しそうな人だ。
眞木さんは少しとんがった性格の女の子。
勉強は苦手みたいで、授業中はよく爪の手入れや枝毛の処理をしている。
この二人は三組で公認のカップルだ。
「…………僕も胃痛いや、門井これ食べて?」
「え、ああ…………」
三田くんはお腹をおさえながら後ろの席の門井くんにコールスローを渡していた。
「紗由理」
「食べられない!三田だって門井にあげてるし、もう良いでしょ」
そう言って眞木さんはまだ残っているご飯をそのままにプレートをカートに戻した。
席を立って止めようとしていた寺井くんだったけど、眞木さんの態度を見て諦めたようだった。
「そういえば…………
あ、あの質問なんですけど」



