「もうマジで意味わかんねぇな。はは」

「マジでそれ。はははははは」

思考回路が可笑しくなったのかクラスメイトは何故か笑い始めた。

「皆!正気を保つんだ!」

僕の声は誰にも届かない。

「人が死んだ。俺たちが望んだから…………野比先生が死んだ」

「殺した?

ちげぇよ。アイツが殺したんだ。私たちは悪くないじゃん」

責任転嫁にもおもえる言葉。

でも、じゃあ誰が野比先生を殺したのか?

分かりきっている。

それはアイツだ。

なのに、なんだこの罪悪感は。

ああ、指先が冷たいよ。



「これにて一時間目を終了します。

二時間目は明日行います、しばしの微睡みを楽しんでください」

アイツの最後の言葉など誰も聞いてなどいなかった。

ただ声に出して笑うことでしか、目の前の死を受け止めることが僕らにはできなかったんだ。

「あはははははははは」

「はははははは!」

誰も気づかぬままに睡眠ガスが僕らのいた空間に噴射され、満たされていく。

そして、ある人は笑い。

ある人は泣き崩れ、ある人は恐怖に身を縮め、ある人は震え上がり、その中で意識を失っていくのであった。