ケンショウ学級


夕食は質素な相変わらずものだった。ロールパンが2つに、クラムチャウダーとグリーンサラダ。そう言えば僕らに配られる食事はどこから配給されているのだろう?洋食もあれば和食もある。

それよりも気になるのは今日の夕食の見回りがアキラだという事だ。今も何だか不穏な空気をただよわせながら各独房を見回している、様な気がする。

もう1人は佐伯さんか。クラスでは目立ちもしないけど、雰囲気を壊したりもしない。今も看守という役割を必死に演じようとしているように見える。

「ごちそうさまでした。佐伯看守お願いします」

僕がそう言うと「あ、はい」と言って佐伯さんが取りに来てくれた。

亮二はまだ食べているけど、レタスの芯に近い部分かなを残してる。まさか、また残すつもりなのか。

「おーっとぉ、これはどういうことかな?04番!?」

急な大声が監獄に響き、事務室からも何人かが様子を見に来た。04番、確か金子くんだ。そして大声の主はアキラだった。なんだか嫌な予感がする……

「どうしたアキラ?」

アキラは金子くんの胸ぐらを掴みながら、反対の手にはトレイを持っていた。そこにはクラムチャウダーに入っていたシジミが1粒残されていた。

「確かこのケンショウ学級では食べ物を粗末にしちゃいけなかったよな?なぁ、看守様にトレイを取りにこさせといてこれはなんだ?」

「ちょっと、手離しなよ……」

森下さんは震える声でアキラにそう言った。アキラは数秒、森下さんを睨むように見つめて、金子くんの襟元を掴んでいた手を離した。

「食べようと思ったけど、砂利みたいな感触がしたんだよ。元々好きじゃないのもあるけど」

「だからって粗末にしちゃダメだろ」

その時のアキラの目は異様だった。正気を失った野比先生とも違う、もっと深く濃い狂気。そう、まるでニュースで見る殺人犯のような深い深い悪意だった様に思う。

「食べ物を粗末にした上に口の利き方もなってねぇな04番。喜べよ、お前みたいなやつにお似合いのVIPルームを見つけたんだ」

VIPルーム?なんのことだ?

「おい、何する気だやめろアキラ」

それは他の看守役も知らない様で、春馬がアキラを止めに入った。僕らは何もできない、頼む看守役の人達。

「いやさ、オレは皆を心配してるんだよ。ここに入った時に言われただろ?囚人は囚人らしく、看守は看守らしくここでの生活をおくらなければならない。

あの時アイツは何も言わなかったけど、今のオレらは本当に演じられてるのか?休憩時間に囚人と遊ぶ看守、看守に対してタメ口を聞く囚人、識別ナンバーを守らずに会話をする……

オレがアイツなら、そろそろ見せしめに誰か殺すよ?」

誰もがそのアキラの言葉に恐怖した。そして、アキラの言葉に反論するだけの材料を全くもちあわせていないことを、嫌が応にも認識させられた。

「……異論ないよな?」