願ったさ。
ああ、願ったよ!
アイツには無様に見えただろう、それでも僕らは願ったよ。
自分を犠牲にしてまで、アイツらに向かっていった彼の牙が、刃が届けと!
僕らは願ったんだよ。
「あれは、おれで、これそのだれがおれの?」
白仮面が足から順に寺井くんの拘束を解いていく。
足首、ふくらはぎ、ふともも、腹部。
どんだんと自由になる身体に寺井くんは気付いているだろうか?
成し遂げたかった思いはまだ残っているだろうか?
「無理だよ…………」
「ああ、無理だったんだよ」
誰もが諦めていた。
もしかしたら途中から寺井くん自身でさえも。
首の拘束も解かれ、右手、右腕が解かれた。
目の前にいる白仮面を殴ろうと思えば手を当てることも、蹴り飛ばそうと思えば足を振り上げることもできる位置だった。
「あれはおれそのどれがえっと
なにがをいえばおれはあれ?いいんだっけ?」
ぼそぼそと何かを呟いてはいるが最早文章としても成立していない。
無理か。
無理だったのか?
君の怒りや屈辱を以てしても、アイツらに、せめて白仮面の一人にでも一矢報いることはできないっていうのか?
そして、とうとう全身の自由を奪っていた拘束が全て解かれた…………



