ケンショウ学級


「お前は誰?だ?

お前?あれ?これは?なに?」

声は小さくなっていく。

アイツはある特定の言葉「お前は誰だ?」というセリフを言い続けなければ罰を与えると言っていた。

でも、それはただの切っ掛けにすぎなかったのだろうか?

「おまえ、おまれ、え?

これはだれ?それはおれで、あれ?どれが?えっと…………」

台詞を失った頃には彼の目は虚ろに、泳ぎはじめていた。

もう、すでに彼はテライクンを見ていないのかもしれない。

ただ、その目に写る鏡の先にいるナニカにナニカを言い続けるだけなのかもしれない。

「あー、あっ…………おれは?

え?えっと…………これ?が?なんであれ?

どう?したっけ?」

その時、画面の中の白仮面がわずかだけれど動いた気がした。

身体がピクリとうごくのと同時に、ゆっくりと右手を上げようとした?

違う、あれは…………

そして、白仮面は立ち上がってゆっくりと寺井くんの元へと近づいていく。

反射角からして鏡にはもう白仮面の姿も寺井くんの視界に写っているのだろう。

だけれど、彼には何の反応もなかった。

「寺井!寺井!!」

佐野くんが叫ぶ。

届かないのは分かっていた。

いや、そもそも僕らはもう間もなく知るのだけれど届くはずなどなかったのだ。

「寺井、お前がそこに行ったのは何の為だったんだよ!!」