「たっちゃん…………寺井が」
「…………ああ」
寺井くんの異変に気づいたのは僕だけではなかった。
それと同時に幾人かにも異変が起こり始めていた。
「寺井くん…………」
様子の変わるクラスメイトを心配し続ける者。
「どうなっちまったんだよ寺井は!
もう止めやがれ!!」
佐野くんの様に、そう僕の様にアイツに憤りを感じる者。
「ねぇ、これ何してるんだっけ?」
ぽつんと溢れた言葉が、湖に落ちた石つぶが同心円に波紋を広げていくように木霊した。
同一の刺激が繰り返されることで、聴覚としてのゲシュタルトが崩壊し、ケンショウ実験の理由すら崩落した者。
そして。
「なんか、ダルい」
最も多く見られたのが、寺井くんへの関心を失った者だったのだ。



